藤田晋×米倉誠一郎 / 起業ってこうなんだ!

 車中の読書。起業についてよりも、IT産業周辺状況をざっと概観するのに便利な本。
 おもしろかったのが、プロダクト・デザイナーの深沢直人(auの例のneonの人)がアメリカのアイディオ社にいたときに叩き込まれたというFLOSSという考え方。
 最初のFはFailureのF。つまりFailure Firstの精神で、「まずは失敗してみろ」ということ。次のLがLeft HandのLで、「世の中には左利きの人もいるのだから、そういう違った視点から物事を見てみろ」ということ。次のOはOut ThereのOで、「現場に出てみろ」ということ。次のSがSloppyで「いい加減になれ」、最後のSがStupidで「バカになれ」ということ。そう言えば、この「バカになれ」というのは、例の昨年スタンフォード大で行われたスティーヴ・ジョブスの感動的な記念講演(こちら)でも言われてたよね。

起業ってこうなんだ!どっとこむ

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ビッグイシュー名古屋登場

 今日の朝日新聞を読んでいたら、名古屋版の地域面に『ビッグイシュー』が名古屋にも登場するとの記事が載っていた。
 知らない人のために解説すると、『ビッグイシュー』はイギリスで始まったホームレス支援雑誌。世界(24の国、50の都市・地域)に広がっているらしく、ホームレスの人しか売ることができない。東京や大阪でホームレスの人が声を出して雑誌を売っているのを見たことがある人もいるのではないか(中古の週刊誌の路面売りではない、念のため)。03年に大阪で始まり、東京、横浜、仙台と広がり、ついに名古屋上陸なのだとか。
 『ビッグイシュー』はホームレスの人たちの仕事を作ることによって、彼らの自立を支援することを目的としている。ホームレスであれば定価200円のこの雑誌を90円で仕入れることができ、差額の110円が利益となる。雑誌のメイン・コンテンツはなぜか海外のロックや映画や、硬派な社会ネタ(エイズうつ病やAC)など。変な雑誌。東京や大阪で見かければ買っているので、僕が読んだのは5〜6冊くらいだろうか。率直に言って、編集については改善の余地があると思う。
 さて、この『ビッグイシュー』。おもしろい支援事業だと思うのだけれど、赤字続きらしい。だが、この状況については、知らない人がまだまだ多いので、まずは知らしめることが何よりも重要だ。お金をかけずにすむパブリシティをどれだけ多く獲得できるかがポイントになりそうだ。いつ、どこで買えるのかが分からなければ、そもそも買えないのだから。あるいは、見込客がいそうなエリアや団体とのタイアップだろうか。
 商品が売れない状況は大雑把に言って、知らないから買わないのか、知っていても買わないのか、買ったことがあるけれどリピート購入していないのかに分けられる。1番目の状況の場合、何よりも商品を知ってもらうことが必要であり、今回は明らかにこのケースだ。ちなみに2番目の状況については、商品の見た目や売り方に問題があることが多い。3番目の状況については言わずもがな。この場合はまず商品そのものに問題があるのだ。最近の『ビッグイシュー』は読んでいないのだけれど、果たして何度も読みたくなるようなおもしろい雑誌になっているのだろうか。
 
ビッグイシュー
http://www.bigissuejapan.com/