FUJI ROCK FESTIVAL 二日目 2004/07/31

●回遊ルート
ゆっくりと午後からスタート。フランツ・フェルディナンド(Green)から一気にOrangeに行き、UA。Heavenに向かって、斉藤和義をちらり。ご飯を食べたり、店を見たりして、Gypsy Avalonのステージをぼうっと。またHeavenに戻り、ベルセバを途中から。ただし、最後の曲を残して、ジミー・イート・ワールド(White)へ移動。最後まで見てから、Greenに戻り、休憩しながら清志郎を少し。そして、シャーラタンズ(Red)! 終了後にGreenに戻り、ケミカル・ブラザーズ。その後、Redでバッファロー・ドーターを見て、この日は終了。
通しで見たのは、ジミー・イート・ワールドシャーラタンズケミカル・ブラザーズバッファロー・ドーター

●感想
Franz Ferdinand
席に座ってビールを飲みながらぼうっと見ていたのだが、ボーカルは服装といい歌い方といい、デヴィッド・バーンみたいだ。曲もトーキング・ヘッズのロック的な部分のみを展開したような感じ。決して悪くないので、更なる飛躍を期待というところ。
UA
まったり系のUA。悪くないものの、彼女の凄みってどこにいってしまったんだろうか。
斉藤和義
う〜ん…。ごく普通のポップスにしか聴こえない…。
BELLE & SEBASTIAN
フジロック三日目にまとめて書くつもりなので、2004年8月1日の日記を参照。本当に書くかどうかは書いてみないと分からないけれど。実は既に書き疲れてきているので、三日分を一気にアップするのは無理かなと思ってきている(笑)。となると、残り一日を書くかどうかは我ながら怪しくなってきた…
・The Charlatans
今回のシャーラタンズはお見事。これこそが僕の見たかったシャーラタンズのライブだ。彼らのライブを見るのはこれで3回目なのだが、過去2回が最低だったために、単独ライブだったら見限っていかなかったところ。これまで何が悪かったのかと言えば、端的に音のバランスだ。あまりのバランスのひどさに何の曲なのかさっぱり分からないほどであり、特にベースとドラムの音が馬鹿デカすぎるために、楽曲の良さが見るも無残に撲殺されていた。これについては、2004年7月22日の日記も参照。しかし、今回は何と個々の曲が分かるのだ(笑)。多分これまでの名古屋公演は手を抜いて、ちゃんとセッティングしていなかったんだと思う。その意味で、基本はいい加減なバンドなんだろうな。
いきなりハモンドオルガンが爆発するウィアドー、続いてジ・オンリー・ワン・アイ・ノウという盛り上げまくりの反則技で始まり、ジャンプを煽りまくりのハウ・ハイからスプロストン・グリーンで終わる。楽しすぎの1時間。曲目や構成としては、特にこれまでのライブと大きな違いはない。特にスプロストン・グリーンで終わるパターンはいい加減、止めた方がいいのではないか。しかし、とにかくはついに見たかったシャーラタンズが見られた以上は、あれこれ言うには及ばない。とりあえず大満足。
ただし、実のところ今回も音はイマイチよくなかった。特にボーカルのマイク音。はじめはRed Marqueeの反響が悪いのかと思っていたのだが、他のミュージシャンのライブではそうでもなかったので、やはり彼らの問題なのではないかと思う。彼らのライブを見に行くつもりなら、今後も引き続き要注意。
The chemical brothers
実のところ彼らの野外ライブがすばらしいことは昨年の朝霧ジャムでも分かりきっており、今回も当然のごとく想像通りにすばらしかった。だからヘッドライナーとしては、あまりに手堅すぎではある。あるのだが、またもし野外でケミカルがやることがあれば行ってしまうんだろうなぁ…。アンコールではシャーラタンズのティム・バージェスがボーカルに飛び入り参加。しかし、ライトも当たっていないし紹介もなかったので、誰なのか分からなかった人も多かったのではないか。紹介ぐらいしてやれよ。
巨大なグリーン・ステージでケミカルの音楽にあわせて大勢の群集が踊っている光景は圧巻だ。そう、あまりに圧巻なので、ケミカルの音楽が有するやばさも際立っていた。VJは明らかに身体をターゲティングしている。巨大な目のクローズアップなどの断片化された身体。CGで描かれた無重力の中をゆっくり漂うような身体の映像などの、抽象化された身体。これらの映像を見ながら踊ることによって、具体的な自分の肉体も消滅する。その状態でただひたすら享楽を求めて踊り続けるのだ。意識は浮遊し、単なる感覚の受容体となる。そこにVJの視覚的な刺激に加えて、強力なデジタルビートによる聴覚的な刺激が次々に注入され、ただ忘我の状態が訪れる。そもそもテクノの音楽や映像は観客を忘我に導くことを目的にひたすら快楽原則に従って作っているのだから、当然と言えば当然の事態だ。そのうえで、例えば、ケミカルのいるステージ上から観客の背後の山に向かって緑色のレーザー光線が次から次へと放たれるのだ。そう、これはあたかも高度なテクノロジーで制御されたミサイルの爆撃のようだ。圧巻の大スペクタクル。そして、それを見てかっこいいと喜ぶ自分がいる。このように一方向へと統制された観客を指してファシズム的だと言うことはたやすい。だが、問題はこのような善悪を超えた享楽を無視する禁欲的平和主義など信じられない点にある。テクノロジーが切り開く感覚の未来は複雑な地形を描く。

●本日のベストアクト Jimmy Eat World
ジミー・イート・ワールドは実は初めて聴いた。予想を裏切り、あまりにも熱い爆音ハードロックに衝撃。冒頭からギターやベースやドラムは吼えまくり。ボーカルは1時間絶叫しまくり。ボーカルのジムは今回のフジロック出演者のなかで最も疲れた男だと思う(笑)。演奏中はかなり雨が降っていたが、彼らにはそれがまたあまりにも似合う。雨なのか汗なのか分からなくなりそうな熱演。観客も雨のなかの熱演に狂喜乱舞。バンドと観客が一体となってWhite Stageのなかにものすごい力を凝縮し、爆発していた。凄すぎ。
ただし、ジミーの凄さはこのバンド独自の凄さというよりも、ロックというジャンルの凄さだとは思う。このバンドがロック、あるいはハードロックというジャンルのなかに特に何かを付け足しているわけではおそらくない。観客の熱狂はハードロックのイディオムが生み出したものであり、つまりはジミーというバンドはハードロックの豊かさを見事に体現したバンドなのではないか。ハードロックというジャンルを革新などせずとも、ジャンルの規則に徹底的に従うことによってこれだけの熱狂を生み出せるということは、もちろんすばらしいことだ。新しい語彙やイディオムを発明しなくても、既存の言葉だけで感動的な演説をすることはできる。

●本日のベストフード ナンとカレー
Avalon Fieldで食べた。お腹がすいており、一気食い。夜にWorld Restaurantで食べたパエリアはご飯に芯が残っていて少し硬かったのでいまいち。

●本日の心残り
JAMAIKA ALL STARS、MO'SOME TONEBENDER、FERMIN MUGURUZA KONTRABANDA、Jack Johnson、PRIMUS。