トリンプ社長の仕事は無駄取りらしい

日経アソシエ』2004年8月17日号(日経BP社)を実家から戻る途中の新幹線車中で。相変わらずぜんぜんおもしろくない。時間つぶしにもならず。そのなかで唯一おもしろかったのが、見開き2ページのトリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の吉越浩一郎のインタビュー。
日本企業のオフィスはあまりに騒がしく、そのために仕事の効率が落ちているとの認識から、トリンプでは1994年より「がんばるタイム」を実践。「これは12時30分から14時30分までの2時間は電話をかけたり、話したり、立ち歩くことも禁止。お客様にもできるだけ電話をかけないようにしてもらっている」らしい。この時間にアポを入れて商談をすることも原則ダメなんだとか。この2時間はひたすら集中して仕事をする時間。これはなかなか良い習慣だと思う。
ちなみに、この仕組みは、もともと資生堂が実践していたものを取り入れたらしいが、このぱくりのことをトリンプではTTPと呼んでいるとのこと。TTPは「徹底的にぱくる」の略。このような奇妙な用語を流行らせることは、確かに企業の業務改革の際によく採用されるやり方ではある。
ところで、この「がんばるタイム」。僕の努める会社での導入はおそらく難しい。最大の理由はお客様からの電話拒否が難しい点にある。昼間はほとんどの営業は外に出ているため、オフィスの電話はよく鳴っている。昼間の連絡が取れないなどと言えば、仕事は他社に流れてしまう可能性が大きい。そもそも緊急対応が非常に多い業種である。では、コールセンターを別に設けることはどうだろうか。費用対効果を含めて検討してみる余地はある。だが、かなり仕事の流し方を変える必要がある。そうでなければ、お客様は営業マンのケータイ番号を聞きだして、直接電話をしてしまい、コールセンターの意味がなくなってしまう。お客様にしてみれば、普段接していて顔が見える営業マンこそがもっとも話しやすいだろうから。
トリンプでは、「がんばるタイム」以外にも、「社内PHSの不所持」「『さん』づけの不徹底」「会議室後後片付けせず」などの社内の決まりを守らない場合、部課ごとのボーナス原資から罰金をとられていく仕組みらしい。かなり徹底しているが、ある意味で一番うらやましい決まりは「水曜、金曜のノー残業デー」。この両日に限っては定時で主電源を切り、電気もPCも使えなくしてしまう。それだけではない。他の日であっても残業は原則禁止。申請があれば認めるものの、その場合でも罰金は加算される。すごい。これは残業依存業種である弊社ではとても不可能なので、残業を減らすためには別の仕組みを考えることが必要だ。
だが、トリンプの様々な取り組みは興味深い。毎日の早朝会議は有名だが、それ以外にも能力のある若手社員を課長に抜擢する「課長代行制度」(ただし、待遇面では課長と同じにはならないらしい)や新卒入社1年目であっても新ブランドの商品企画に積極的に参加させるなど、若手社員の登用や教育に積極的だ*1。結局のところ、こういう工夫の積み重ねが重要なのだ。

*1:『THE21』2004年8月号より