いま聴いている音楽 Vera Bila & Kale

ヴィエラ・ビラ&カリ / ロム・ポップ
チェコのジプシー女性歌手ヴィエラ・ビラと彼女のバンド・カリのアルバム。ロムとはロマ、つまりジプシーのことだが、彼女たちの音楽はジプシー音楽+ポップミュージックであり、まさにロム・ポップというタイトルに相応しい。あえて言えば、場末の酒場でギターをかき鳴らしながら歌われる哀愁を帯びた音楽といった趣き。
歌詞も興味深い。日本や欧米のポップスのような愛の歌はほとんどなく、生活全般に関わる様々な感情がシンプルに歌われる。例えば、私の夫は若すぎて他の女ばかりを追いかけるという歌、稼ぎが悪いという歌、獄中から母親を恋しく思っている歌、ロム以外の男たちは立ち去れという歌…。全体的に短い曲が多く、2分以下のものも多い。しっとりとしたメロディを聴かせると言うよりも、数行の歌詞が端的に歌われて終わる。余計な装飾をそぎ落とした純粋なポップス。