Jah Shaka@CLUB RADIX 2004/10/09

満員のRADIXに登場したジャー・シャカはすばらしかった。朝霧よりも。
確かに、これが現在のダブの、UKニュールーツの最前線ではないかもしれない。音の緊張感で言えば、8月のディサイプルズの公演の方がすばらしい。だが、これはラスタなダブのひとつの完成形なのではないか。そして、逆説的だが、その完成度のいい加減さがやはり感動的だ。
登場して、レコードをかけたかと思えば、ガムテープを適当にちぎってハイレ・セラシエのポスターを次々に張っていく。見栄えなんてあったものではない(笑)。また、レコードのつなぎもまったく気にしていないため、音は当然、ぶつ切り状態(笑)。もしかすると曲の長さすら覚えてやしないのかもしれない。1枚のレコードが終わると、「えっ、もう終わったのか?」というような表情を浮かべながら、MCでごまかしながら次のレコードを慌ててかけていっているかのようなシーンも多々あった。さらには、年齢を忘れたかのように不可解な振り付けでガンガンに踊るわ、さしてうまくない歌を歌うわ…。そして、それらすべてがジャーに捧げられているのだ。
だが、このルーズさを極めたステージは妙に感動的だ。捧げられたジャーも困っているのではないかと思わせるような不可解なエナジー。それこそが彼の魅力なのだ。そもそもファンキーなじいさんが何を考えているのかなんて、誰にも分かりはしない。そう、おそらくはジャーにだって。
最後に簡単に朝霧との比較を。この手の音は野外で山の中に拡散させていくよりも、狭いハコのなかでぐわんぐわんに反響させながら、体を蝕んでいくような振動の強度にまで高めるほうが脳に来ると思う。曲の構成については朝霧とかなり似ていた。冒頭なんてそのまま同じ。