現代の労働者を歌う R.E.M.

R.E.M. / UP
J-POPの空疎さは題材の貧しさも一因となっていると思う。あいも変わらず似たようなラブソングばかりであり、例えば働くことの現状を歌った音楽など皆無なのではないか。だが、これは大して興味もない話題であり、別の話。
現代の労働者の状況を歌った曲として思い出すのがR.E.M.のデイスリーパーだ。ギターで奏でるシンプルなメロディが美しい。
デイスリーパー(DAYSLEEPER)とは要するに昼間に寝ている人のこと。つまり、この曲で歌われているのは、深夜に働いている人の状況だ。彼は多国籍企業の受信部門で働いている。年配の社員はリストラされた。辺りは静まり返っている。だが、多国籍企業の活動は24時間休むことはなく、世界各国とつながっている。そして、彼は連日の深夜労働に疲れきっており、自律神経も失調してきている。

この間の夜は泣いてしまった。
自分でもなぜ泣いたのかよく分からないんだ。
カフェインのように眠気を覚ます蛍光灯の平板な明かり
そのめちゃくちゃなバランス

多国籍企業だからと言って華やかな職場環境を想像してはいけない。現状はこんなものだ。多くの人が過酷な労働条件のなか、神経をすり減らしながら働いている。そして、このような状況は何も多国籍企業に限らないのだ。
僕は多国籍企業などに勤めてはいないが、深夜残業になることは少なくない。そのような時に聴きたくなる逸品。