ロック・ザ・カスバ♪

 
 ●ラシッド・タハ / テキトハ?
 
 おぉっ、前作以上に良いじゃないか。アラブ風の旋回するような旋律に、彼の力強いだみ声ボーカルがかぶさる。
 アラブ音楽に特徴的な反復する旋律はロックのフォーマットと合っていると思う。ロラン・バルトは『明るい部屋』のなかで相手の目をじっと見つめるものは狂人だと言っていたが、同じ事を繰り返し言い続けることにも狂気が宿る。そして、ロックの力の源泉の一つがメロディにあわせて同じ言葉を繰り返すことにあるとするのならば、アラブ風の反復旋律はまさにうってつけの媒体なのではないか。同じ旋律に合わせて、同じ言葉を反復し、似た言葉を繰り返すなか、少しずつ狂気を宿らせ、音の強度が高まっていく。3曲目の「過去は過去だ!」や4曲目の「ヤツラに説明を求めろ!」などが典型的だ。
 ところで、ザ・クラッシュの「ロック・ザ・カスバ」のカバー「ロック・エル・カスバ」はやはり最高だ。バックコーラスを務めるカスバボーイズ(笑)のメンバーにはなぜかブライアン・イーノの名前も見られる(笑)。だが、このバックコーラスなら歌っていて楽しそうなので、参加したい気持ちはよく分かる。ぜひ生で見てみたい。イーノもカスバボーイズとして来日して欲しい(笑)。
 
 "SHA-RIFF DON'T LILE IT. ROCK THE CASBA! ROCK THE CASBA!"