シザー・シスターズ / シザー・シスターズ

 派手派手にドレスアップし、グラムでニュー・ウェイヴ・テイストな音を展開するシザー・シスターズのファースト。彼らはニュー・オーダー・チルドレンのなかに括られることもあり、一聴すればイギリスで大ヒットした理由は誰の耳にも明らかだが、他方で彼ら自身の出自であるニューヨークのアンダーグラウンド・カルチャーも忘れるべきではない。キャバレーやゲイバーのステージで経歴を重ねたことから分かるように、もともと「3人のフリークスがディスコ・ソングを演るってだけの、いわばインスタント・パーティ・バンドみたいなもんだった」(voのジェイク談)らしい。ジェイクは「デヴィッド・ボウイロキシー・ミュージック、それにロッキー・ホラー・ショウに多大なる影響を受けた」と語ってもいる。そう、あのNYのカルト映画『ロッキー・ホラー・ショウ』だ。
 彼らのキッチュに派手なこのゴージャスさは非常に魅力的だ。ここで歌われる恋も失恋もストレートな内面性が振り払われ、ただ人工的に歪んだネオンのような輝きが強調される。そして、逆説的だが、その姿にこそヴィヴィッドで人間的な生が宿るのだ。
 

シザー・シスターズ(初回)

シザー・シスターズ(初回)