ポリーニ・プロジェクトⅡの傍らで

 今回のポリーニ・プロジェクトは非常に疲れた。
 最後の曲であるノーノの「森は若々しく生命に満ちている」が終わった時点で時計を見れば、既に時間は21時半を回っていた。非常に心残りでありながらも、拍手もそこそこに慌てて会場を飛び出した(演奏者の方々には非常に申し訳ない。観客席で聴いていたポリーニが拍手のなか前の舞台に歩いてきている姿が目に入った)。名古屋行きの最終新幹線は東京駅発22時が最終なのだ。
 オペラシティの階段を駆け下りながら、京王新線に向かおうか悩むが、前方にタクシーが目に入ったので一瞬で決断し、タクシーに飛び乗り、とりあえず新宿駅方面に向かってもらう。この時点で時計は21時37分。
 頭のなかで、新宿で降りて中央線で東京駅に向かうか山手線で品川駅に向かうか、あるいはタクシーでこのまま東京駅or品川駅に向かうかを悩む。タクシーで向かった場合にどうなるかを判断するために、運転手に事情を話して相談してみると、品川駅よりは東京駅の方が近く、品川駅に向かってもタイムリミットが5分伸びるぐらいならば東京駅に向かうほうが可能性が高いとのこと。さらにうまく行けば15分ぐらいで着くとのこと。その言葉で決断し、そのままタクシーで東京駅まで向かってもらうことにしたのだ。
 東京駅に着いたのは21時55分。感謝の言葉と「お釣りは結構です」という「大人の言葉」(笑)を残してタクシーを飛び出し、駅構内に駆け込む。自動改札を抜け(もちろん既にチケットは購入済み)、階段を駆け上がり、新幹線に飛び乗った。席に着くや否や新幹線が発車。まさにギリギリセーフだ。心から思いました。タクシーの運転手さんありがとう。いくつもの信号を無理気味でも飛び込んでくれて(笑)。
 しかし、「釣りはいらない」などという「大人な行動」は、今回初めて取ったことであるよ(笑)。惜しむらくは、実際の料金2,900円のところを3,000円で支払っただけなので、あまりかっこよくはなかったという点。また、慌ててコンサート会場を飛び出したり、東京駅でも慌てて新幹線に駆け込むなど、決して洗練された大人の行動とは言えないという点。さらには、今回の公演を最後まで聴いて、名古屋行き最終の新幹線に飛び乗れたのは僕だけだ、などとちょっとだけ自慢げに思ってしまっているところも、あまり大人気ない…。
 学んだこと。初台から東京駅まではタクシーで3,000円程度。時間は20分ぐらい。ただし、こんなに大変なのは二度とゴメンだ。