杉本博司 「時間の終わり」展 @ 森美術館

 杉本博司をまとめて見たのは今回が初めてだったのだが、圧巻としか言いようがない。展示も含めて見事であり、間違いなく今年最高の展覧会だ。会場に流れる池田亮司の音楽も素晴らしい。必見。
 特に衝撃的なのは、やはり海景だろうか。水平線を捉えているるだけのモノクローム写真であり、ほとんど何もないとも言えるのだが、画面上の海を注視すれば、そこには信じられないような精度でもって無数の波が映し出されているのだ。端的に言って、圧倒されるほどに美しい。そして、その美しさを支える恐るべき精度は眩暈を起こしそうなほどだ。細かい無数の波を見ていると、無限に静止したその波が蠢いているようにも見えてくる。