クロノス・カルテット / 冬は厳しく
このアルバム1曲目の表題曲、アウリス・サリネンの「冬は厳しく」は、クロノスの演奏をバックに次のような詩が女性コーラスで歌われる。2分もない短い曲だ。
鴨はあまりたくさんはいなかった。
母鴨がパンかごをさかさまにした。
鴨たちはグワッグワッと鳴いて不満そうに見えた。
水は黒かった そしてまもなく凍った。
冬は厳しかった。冬は厳しかった。
お金も銀行の中で凍った。
土曜の夕べの楽しみも
隔週にしかなかった。
今日、渡った川は凍りこそしなかったが、非常に黒く、その光景を見ながら、僕はこの曲を思い出した。
だが、むしろそのときの僕の気分はこのアルバム2曲目のテリー・ライリー作曲「狼男、月下に乱舞」の気分だ。ミニマル・ミュージックの巨匠ライリーのこの曲は、まさに「ものぐるほしき」気分にぴったりの、ちょっとチャーミングな曲だ。
ちなみに、このアルバム内で僕が一番好きな曲は5曲目のジョン・ゾーン作曲の「狂った果実」。クロノスによる弦楽の不協和音。フリクションのレックの詞を太田裕美が朗読する。クリスチャン・マークレーの混乱したターンテーブルの介入。80年代のジョン・ゾーンらしい、ブツ切れのサンプリング感覚があふれる断片性の積み重ね*1。
- アーティスト: クロノス・カルテット,サンフランシスコ少女合唱団,太田裕美,ライリー,ペルト,ウェーベルン,ルーリー,ピアソラ,シュニトケ,バーバー,サリネン
- 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
- 発売日: 1996/05/10
- メディア: CD
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