アルフレッド・デラー / ミュージック・オブ・パーセル・ジェンキンス・アンド・ロック

 4月8日のエントリに書いたピナ・バウシュの「カフェ・ミュラー」はパーセルの音楽を使っていた。僕のパーセル体験はクラウス・ノミの作品(例えば、このエントリを参照)と高橋悠治の『パーセル 最後の曲集』が中心であり、まともに聴いてきたとは言えないので、今回カウンター・テナーの巨人アルフレッド・デラーのこのアルバムを購入。ハープシコードグスタフ・レオンハルトと贅沢な布陣だ。10曲中、パーセルは8曲。すべてが声楽曲ではなく、楽曲のみのものも含む。
 クラウス・ノミで馴染んでいたせいか、パーセルと言えばカウンター・テナーの印象が強く、例えばカークビーによるソプラノ(嘆きの歌/パーセル:歌曲集)ではピンとこないのだけれど、デラーによるパーセルは思ったとおり見事だ。キッチュなノミとは異なり(もちろん、それはそれでおもしろいのだが)、端正な美しさに満ちている。繊細きわまる声の統御。運命を静かに受け入れる。

Alfred Deller Sings

Alfred Deller Sings