マルコ・ベロッキオ / 夜よ、こんにちは

 日本でベロッキオ作品が公開されるのは本当に久しぶりなのではないか。1978年の赤い旅団によるモロ首相殺害事件をモチーフにした作品は、際どい政治を扱っているものの手堅い演出でもって、こけおどしを排している。地味? そうかもしれない。夢/幻想のシーンであってすらそれらしい描写などなく、現実の描写と何も変わりはない。だが、それにも関わらず夢/幻想のシーンにおいて、モロ役のロベルト・ヘンリツカが強烈な印象を残す。
 ベロッキオと言えば、政治や性や精神分析と言ったテーマを扱ってスキャンダラスなイメージが強いかもしれないが、カメラの長回しに耐えうるだけのしっかりとした演出こそが彼の本領だ。
 関係ないが、アントニオ・ネグリが亡命したのは、そして帰国後監獄に入れられたのは、この事件を含む赤い旅団のテロ活動を主導したとの嫌疑をかけられたため。
 
『夜よ、こんにちは』オフィシャル
http://www.bitters.co.jp/yoruyo/