映画

楽しみな映画

クリント・イーストウッド / 『父親たちの星条旗』10月28日公開 『硫黄島からの手紙』12月9日公開 http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/

佐藤真 / エドワード・サイード OUT OF PLACE

サイードのドキュメンタリー。彼の死後に撮られたものなので、直接的に本人は出てこない。常に異郷を生きた知識人を、本人不在のまま移動において捉えようとする試み。辿られるのは彼の著作に記された記憶の場所であり、彼の家族・友人たちであり、何よりも現…

マルコ・ベロッキオ / 夜よ、こんにちは

日本でベロッキオ作品が公開されるのは本当に久しぶりなのではないか。1978年の赤い旅団によるモロ首相殺害事件をモチーフにした作品は、際どい政治を扱っているものの手堅い演出でもって、こけおどしを排している。地味? そうかもしれない。夢/幻想のシー…

ニール・ジョーダン / プルートで朝食を

お奨め。どこに辿り着くのか明らかならぬ主人公の旅は見ているうちに美しいエンディングを迎える(『あなたがいたら / 少女リンダ』のエンディングを思い出した)。ニール・ジョーダンって昔はこけおどしの演出しかできないという印象があったのだけれど、い…

J・J・エイブラムス / M:i:Ⅲ

想像通りの映画。可もなく不可もなく。 M:i:Ⅲ公式サイト http://www.mi-3.jp/

スパイク・リー / インサイド・マン

「社会派」スパイク・リーによる娯楽映画。これぐらいの出来栄えであれば、金を払って劇場で見る価値はある。 物語の題材は銀行強盗。銀行強盗のリーダーを演じるのはクライブ・オーエン。銀行に立てこもった4人の強盗団と交渉する警官がデンゼル・ワシント…

ジョージ・クルーニー / グッドナイト&グッドラック

ジョージ・クルーニーの監督作品。この映画はマッカーシズム(赤狩り)の嵐が吹き荒れるさなか、マッカーシーに敢然と立ち向かったCBSの実在のニュースキャスター、エドワード・マローを描いている。マッカーシーについては、なんと本人自身のドキュメンタリ…

ロン・ハワード / ダ・ヴィンチ・コード

監督がロン・ハワードとあっては、これぐらいの水準では物足りない。一番、ひっかかるのはイアン・マッケラン演じるリー・ティービング卿がまったく魅力的でないところ。この手の物語で魅力的な老人が出てこないのは致命的だ。また、物語上、女性が重要なモ…

スーザン・ストローマン / プロデューサーズ

傑作などと持ち上げる気には到底なれないけれど、一見の価値はある。 大げさな演技にありきたりなストーリー。どうでも良いことであっても、大げさに歌い踊られるのを見ると、正直言ってついて行くのはつらい。ベタなアメリカン・ジョークを素直に楽しめない…

ジム・ジャームッシュ / ブロークン・フラワーズ

ジャームッシュの最新作。ジャームッシュらしいオフビートなミニマリズムは健在だが、ビル・マーレイ独特のとぼけた雰囲気が映画全体に漂う。ビル・マーレイ演じる主人公の名前は『マイアミ・バイス』のイケメン俳優ドン・ジョンソンならぬ、"t"が多いドン・…

ガス・ヴァン・サント / ラストデイズ

カート・コバーンの最期の日々をモチーフにしたフィクション。感情移入への誘いを一切排したカメラが淡々と凝視する。ニルヴァーナの曲は一切出てこない。 同じ出来事が異なるポジションのカメラによって何度か見つめなおされることによって、時間軸は曖昧に…

デイヴィッド・クローネンバーグ / ヒストリー・オブ・バイオレンス

う〜ん、おもしろい。こちらは同名のコミックが原作。タイトルを誤解してはいけない。これは「暴力事件を起こした過去」という意味。 冒頭で二人の強盗が暑い暑いと言っている長回しの横移動撮影のまったりとしたシーンは、クローネンバーグにない感触でおも…

スティーヴン・スピルバーグ / ミュンヘン

おもしろい。今年はまずはこの映画を見ないと始まらない。 周知のようにこの映画は実際の出来事を基にした作品である。1972年のミュンヘン・オリンピック開催中にパレスチナ・ゲリラ組織「黒い九月」が起こしたイスラエル選手団襲撃事件。それへの報復にモサ…

カリン・クサマ / イーオン・フラックス

全然ダメ。シャーリーズ・セロンはきれいだけれど。原作アニメのほうはおもしろいらしいが。 オフィシャル・サイト http://www.aeonflux.jp/ オリジナル・アニメーション http://www.paramount.jp/aeonflux/

デヴィッド・ラシャペル / ライズ

「<全米で最も危険>と言われる地区L.A.サウス・セントラル」を舞台に繰り広げられているクランプ・ダンスを題材にしたドキュメンタリー。僕はクランプ・ダンスなるものを知らなかったのだけれど、「ブレイク・ダンス以降に登場したヒップホップ・ダンスの…

ティム・バートン / チャーリーとチョコレート工場

悪くない。ただし、気になる点が2点ほど。ひとつは予想以上に子供向け映画である点。もうひとつはおもしろくないジョークが多いという点。後者はこの手のアメリカ映画にはよく見られる傾向なのだが、まぁある程度は仕方ないな。 ちなみにチョコレート工場主…

マックス・オフュルス / 忘れじの面影

パソコンテレビGyaO[ギャオ]の1ch映画のプログラム「世界Z級映画」にて、9月8日までマックス・オフュルスの『忘れじの面影』が公開されている。この映画はメロドラマ映画史上の最高傑作だ。僕にとってのベストのひとつでもあり、「世界Z級映画」という枠内…

クリント・イーストウッド / ミリオンダラー・ベイビー

今日見てきたばかりであるため、その感動があまりにも生々しく、いまはまだ何も言えない。屈指の傑作であり、この映画を見ずに一体何の映画を見るのか? この映画に思いを馳せると、今この瞬間にも涙が出そうになる…。 ※ほとんどもとの文章そのまま。言葉に…

ペドロ・アルモドバル / バッド・エデュケーション

アルモドバル流フィルム・ノワール。だが、フィルム・ノワールのジャンルの規則をアルモドバル流の展開している点よりも、役者の圧倒的な存在感を見せ付ける見事な演出がすばらしい。主人公のふたり以上に、マノロ神父役のダニエル・ヒメネス・カチョや編集…

ジョン・カーペンター / ゴースト・ハンターズ

文句なし。ジョン・カーペンターはどれを見てもハズレなし、余裕綽々の名人芸だ。カート・ラッセルとのコンビならなおさら。物語はアメリカのチャイナタウンを舞台に霊力を持った超人に戦いを挑むというどうでもいい話だが、カッコよくキメル場面が目白押し…

ウェス・アンダーソン / 天才マックスの世界

『ロイヤル・テネンバウム』の鬼才ウェス・アンダーソンの佳作。特に何がおもしろいという訳ではないのだが、微妙なユーモアが堪らなく良い感じ。例えば、画面の奥のほうで小さく、ビル・マーレーが走って逃げているような演出につい神経が緩んでしまう。 サ…

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ / アモーレス・ペロス

はじめてみたが、非常におもしろい。ドキュメンタリー的なテイストを残すカメラでもって残酷な現実が描写されていく。物語はロンド形式という形式(要するに、ある物語でチラッと登場する人物が別の物語では主役になっているというやつ)が採用されているの…

ペドロ・アルモドバル / トーク・トゥ・ハー

『アモーレス・ペロス』(監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)と二本立てのオールナイトを見てきた。『トーク・トゥ・ハー』はもちろん既に見てはいるのだが、カエターノの姿を見たいと思い、見に行くことに(笑)。 端的に冒頭と最後のピナ・バウ…

本広克行 / 交渉人 真下正義

東京の地下を網の目のように走っている地下鉄を使ったテロをモチーフにするなど、相変わらず題材的には現代的なものをうまく活用している。シネフィル的に様々な映画を引用する点、とりわけ見ていない人のためにネタの詳細は隠しておくがヒッチコックへの目…

テオ・アンゲロプロス / エレニの旅

アンゲロプロスが『永遠と一日』から6年ぶりに発表した新作。アンゲロプロスはもともと20世紀全体を描く1本の作品を予定していたのだが、あまりに長くなりすぎるため独立した3つの作品として構想しなおし、その1作目として本作を完成させた。 久々のアンゲロ…

ノミ・ソング

もうすぐ我らがクラウス・ノミのドキュメンタリー映画が公開される。もちろん必見! クラウス・ノミについては2005年1月8日のエントリも参照。 ノミ・ソング http://www.elephant-picture.jp/nomi/

ジョン・カーペンター / ゴースト・オブ・マーズ

評判通りの傑作。ジャンル的にはアクションSF映画と言って良いと思うが、いわゆるハリウッドの大作映画と比較すると、あるいはしょぼく見える人がいるかもしれない。CGもほとんど使われていない。 だが、無駄のない演出とはこの映画の演出を指す言葉だ。もっ…

ウェインズ・ワールド1、2

それぞれの監督名はどうでもよい。登場人物に魅力があるというわけでもない。全体を通して力強い勢いに満ちているわけではないし、そもそも物語さえないと言っていい。重要なのは、次々と繰り出されるくだらない笑いに付き合える体力があるかどうか。ただそ…

スティーヴン・スピルバーグ / ターミナル

まあまあ。見て損はしない。だが、舞台であるターミナル(空港)の描き方ってあれでいいのだろうか?

宮崎駿 / ハウルの動く城

今更ながらにようやく見てきた。悪くはないものの傑作と言えるかどうかは疑問。物語的にはハウルとカルシファーの契約の意味がよく分からず、「ハウルの心がない」というのも意味が分からない。髪が金髪でなくなっただけで泣き叫んで落ち込んだり、ヒロイン…