本広克行 / 交渉人 真下正義

 東京の地下を網の目のように走っている地下鉄を使ったテロをモチーフにするなど、相変わらず題材的には現代的なものをうまく活用している。シネフィル的に様々な映画を引用する点、とりわけ見ていない人のためにネタの詳細は隠しておくがヒッチコックへの目配せなども題材的には決して悪くない。
 ただし、題材の処理の仕方はやはりイマイチ。ヒッチコックと比較してサンペンスフルではないなどと言うと身もふたもないかもしれないが、その通りなのだから仕方がない。最後の雪のシーンなどもとても雪には見えないおそまつな撮影だ。しかし、とりあえず売れるだけのネタを詰め込んでいるというだけでも、良しとするべきなのかもしれない。我ながら志しが低いが。