ロン・ハワード / ダ・ヴィンチ・コード

 監督がロン・ハワードとあっては、これぐらいの水準では物足りない。一番、ひっかかるのはイアン・マッケラン演じるリー・ティービング卿がまったく魅力的でないところ。この手の物語で魅力的な老人が出てこないのは致命的だ。また、物語上、女性が重要なモチーフになっているにもかかわらず、魅力的な女性が出てこないのもダメ。オドレイ・トトゥでは弱いうえに、他に主要な女性の登場人物がいないのだ。肝心のダ・ヴィンチ作「最後の晩餐」の絵解きもスリリングではない。また、謎と言うならば、冒頭で死ぬ男があのように素っ裸になって大の字に寝転がって死のうなど思いついた心理は謎として非常に気になるが(笑)、I.M.ペイによるルーヴル美術館のピラミッド建築をそこまで……むにゃむにゃ。
 I.M.ペイによる建築と言えば、宗教法人神慈秀明会が作った滋賀県にあるMIHOミュージアムはお奨め。視線を緩やかにさえぎりながら蛇行する薄明かりのトンネルを抜けると桃源郷のように美しい光景が広がる。ただし、美しさは季節変動性が高い。春はイマイチで、初夏ぐらいがいい感じかな。同じくペイが作った神慈秀明会の神殿も見たいところなのだけれど、こちらは残念ながらなかに入れない。MIHOミュージアムから山を隔てて遠く眺めるだけ。
 
ダ・ヴィンチ・コード公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/thedavincicode/