U2 @ さいたまスーパーアリーナ 2006/11/30/Thu.

 ついに待ちに待ったU2だ。今回見るのは残念ながら1日だけなのだけれど、やはり行って良かった。前回の東京ドームでの来日公演から早8年。本当に待ちに待って待って待ちまくっての来日だ。
 まずセットリストは以下の通り。出典はu2.comのBand NEWS(ここ)より。
 
City of Blinding Lights
Vertigo
Elevation
Until The End of the World
New Year's Day
Beautiful Day
Angel of Harlem
The First Time
Sometimes You Can't Make It On Your Own
One Tree Hill
Sunday Bloody Sunday
Bullet The Blue Sky
Miss Sarajevo
Pride (in the Name of Love)
Where the Streets have no Name
One
 
アンコール1回目
The Fly
Mysterious Ways
With or Without You
 
アンコール2回目
Window in the Skies
Desire
All I Want is You
 
 BONOが日の丸の旗を振り回しながら登場したときに違和感を感じなかったと言えば嘘になる。だが、U2に何を求めているのか? もちろん最高のロックミュージックに他ならない。彼らの政治性も彼らの音楽に緊張感を孕ませていればそれで文句はない。
 1曲目City of Blinding Lightsから会場中は信じがたいほどの大合唱。驚くほどの盛り上がり。そう、僕らは皆U2を本当に心待ちにしていたのだ。
 ライヴのピークをなしていたのは、間違いなくSunday Bloody Sunday以降の流れだ。ここからアンコールまでは全公演共通の流れであることからもそれは明白だろう。まずはSunday Bloody Sunday、Bullet The Blue Sky、Miss Sarajevoと続く。これら3曲どれも戦争をモチーフに作りあげている。北アイルランド/イギリス、アメリカ、そしてボスニア*1
 COEXISTと書かれた鉢巻きを締めてBONOがSunday Bloody Sundayを歌う(間奏部分でBONOはThe Crashの代表曲の一つ「ロック・ザ・カスバ」を口ずさむ)。スクリーンには大きく日本語で「共存」の文字が浮かび上がる。「青空に向けて銃を撃ちはなて」と歌うBullet The Blue Skyで更に緊張感が高まり、Miss Sarajevoの熱唱へとつながる。Miss SarajevoはBONOとパバロッティとのデュエットが話題になった曲だが、パバロッティの鈍重なベルカントはむしろ不要だ。
 Miss Sarajevoの最後にはスクリーンに「世界人権宣言」という文字が現れ、続いて実際の条文が流れる。そして、人権の流れでキング牧師を讃える名曲Pride (in the Name of Love)へ。もちろん会場中の大合唱だ(余談だが、僕がキング牧師の命日を覚えているのはこの歌のせいだ)。更には文句なしのロックナンバーWhere the Streets have no Nameへ。会場中は爆発したかのような最高潮。確かにこの流れで盛り上がらないはずがない。
 BONOはケータイ電話を出すように観客に語りかける。暗闇のなか次々とケータイ電話のぼうっとした蛍のような明りがあちらこちらに点滅し、人工の天の川で会場が満たされる。そして、ケータイの天の川のなか、名曲Oneのメロディが流れ出す。感無量だ。Oneの後半にはスクリーン上に「ほっとけない世界のまずしさ」のアドレスが表示され、自分の姓名をメールで送って署名しようという呼びかけが表示される。宗教の勧誘っぽいが、まぁ良くも悪くも今のU2らしいと言えばらしい。僕はメールを送らなかったけれど。
 でも、生Oneは本当に泣けた。僕らはいがみ合ってばかりいる。それでも、だからこそOneを求める。One Love、One Life、One Blood。でも、僕らは全く同じと言うわけではない。だからまた同じことを繰り返すのだ。このようなOneに意味があるかどうか分からないけれど、それでも僕らはOneなのだ。そうとしか言いようがないのだ。U2の曲を聴いていると、このOneが何とリアルに感じられることだろうか。
 

*1:Sunday Bloody Sundayの前のOne Tree Hillではチリの軍事クーデター(1973年に起きたもう一つの9.11)で虐殺されたフォルクローレ歌手ビクトル・ハラが登場するのだが、ライヴの緊張感がぐっと高まっていくのはSunday Bloody Sundayからだ