意外に読まれていない少女小説?

 女性の友人と昔読んだ小説の話になったりしたときなどに、以前から気になっていたのだが、少女小説は意外に読まれていないような気がする。
 ここでいう少女小説は別に吉屋信子大林清などのことではない。いくらなんでもこれらの小説が読まれていないことは分かる。最近はそれなりに読もうと思えば読めるようになってきたが、少し前は入手さえできなかったのだ。
 コバルト文庫? 確かにコバルト文庫もさほど読まれてはいないとは思うが、別に胴でも良い。ちなみに白状すると、僕は氷室冴子の小説などは一時、まとめて出ているものを全部読んだ(笑)。花井愛子はスカスカすぎる文章についていけなかったのだけれど…。
 僕が気になるのは、『若草物語』を知っていても4巻全部読んでいなかったりだとか(例えばベスが死ぬことを知らなかったりする)、あるいは『若草物語』を読んではいても、他のオルコット作品『昔気質の一少女』『花ざかりのローズ』『八人のいとこ』などをまったく知らなかったりするようなところだ。
 そして、それ以上にジーン・ポーターがまったく知られていないことに驚く。ポーターの『そばかすの少年』や『リンバロストの乙女』などは、実際に読めば少女たちがハマること請け合いの作品なのだが…。
 これらはの少女小説は、以前は角川文庫から赤白チェック模様のちょっと洒落たカバーの「マイディア ストーリー」というシリーズで出されていて、手軽に読めたのだ。このシリーズ自体、そう言えば最近は見かけない気がする。
 そう言えば、吉屋信子などの昔の少女小説のよくできたパロディを書いた氷室冴子(『クララ白書』や『アグネス白書』は笑えるのでお勧め)は、一時、角川文庫の「マイディア ストーリー」シリーズを評価し、紹介するエッセイを書いていて、それに案内される形で僕はいろいろと読んだのだった。この手の入り口がないということなのだろうか?
 

そばかすの少年 (角川文庫)

そばかすの少年 (角川文庫)

リンバロストの乙女 (上巻) (角川文庫)

リンバロストの乙女 (上巻) (角川文庫)

リンバロストの乙女 (下巻) (角川文庫)

リンバロストの乙女 (下巻) (角川文庫)

 
 はまぞうで検索して、一応ISBNを入れておいたが、今は入手が難しいのかもしれない…。また『そばかすの少年』が竹宮恵子によって2000年に漫画化されているなんて知らなかった。おもしろいのだろうか? 僕は竹宮恵子があまり好きではないので読まないと思うけれど。
 

シザー・シスターズ / シザー・シスターズ

 派手派手にドレスアップし、グラムでニュー・ウェイヴ・テイストな音を展開するシザー・シスターズのファースト。彼らはニュー・オーダー・チルドレンのなかに括られることもあり、一聴すればイギリスで大ヒットした理由は誰の耳にも明らかだが、他方で彼ら自身の出自であるニューヨークのアンダーグラウンド・カルチャーも忘れるべきではない。キャバレーやゲイバーのステージで経歴を重ねたことから分かるように、もともと「3人のフリークスがディスコ・ソングを演るってだけの、いわばインスタント・パーティ・バンドみたいなもんだった」(voのジェイク談)らしい。ジェイクは「デヴィッド・ボウイロキシー・ミュージック、それにロッキー・ホラー・ショウに多大なる影響を受けた」と語ってもいる。そう、あのNYのカルト映画『ロッキー・ホラー・ショウ』だ。
 彼らのキッチュに派手なこのゴージャスさは非常に魅力的だ。ここで歌われる恋も失恋もストレートな内面性が振り払われ、ただ人工的に歪んだネオンのような輝きが強調される。そして、逆説的だが、その姿にこそヴィヴィッドで人間的な生が宿るのだ。
 

シザー・シスターズ(初回)

シザー・シスターズ(初回)