企画書の書き方をめぐって

先日、会社の同僚と酒を飲みながら、企画書の書き方をいかに教えるのかということについて議論になった。彼の考えは次のようなものだ。自分は企画書の書き方を習ったことはないし、自分で好きなように考えてきた。その結果、習得できたのだから、このやり方がもっともよい。自分自身、人にあれこれ言われるのは嫌いだから、人もそうに違いない。
しかし、これはあまりにナイーブ考え方なのではないか。要するに「枠にとらわれない自由な考えこそが重要なのだ」ということなのだが、これは効率もよくないし、そもそも「枠にとらわれない自由な考え」などはフィクションにすぎない。そのような考え自体、何らかの枠組みのもとで考えられているに決まっている。
企画書にはごく基本的な書き方というものがある。これ自体はさほど難しいものではない。だから、その枠組みを初めにとっとと教えてしまい、あとはそれに沿って具体的な内容を考えさせていく。そして、慣れてくれば、各人がそれぞれ使いやすいように枠組みをアレンジしていけばいい。ただそれだけの話なのではないか。考え方の枠組みを個人で発明させようなどという行為は、単に迷路に迷わせるだけであり、現に迷わせていると思う。
そもそも文章でも絵でも、何も教えず勝手に書かせて(描かせて)まともな作家なり画家なりが育つわけがない。極論を言いすぎるのもよくないが、「自由な発想」などよりは方法意識こそが重要に決まっている。