ジョエル&イーサン・コーエン『レディキラーズ』(2004年/米)

コーエン兄弟の新作。ウェルメイドなコメディでありおもしろく見ることができる。ただし、コーエン兄弟の映画っておもしろく作ろうという姿勢は高く評価するものの、おもしろく作ろうという姿勢がいつも透けて見えるために文句なくおもしろいという風にはいかない。
例えば、ショットひとつ取り上げても、真上から見下ろしてみたり、ローポジションにしてみたり、真正面から建物を撮って奥行きを消してみたり、奥行きをグッと強調して撮ってみたり、アメフトのシーンを一人称で撮ってみたりなどなど、観客を飽きさせないように一所懸命に努力している。物語についても、例えば強盗団や強奪金がどうなるかということについては、誰もが予想するとおりに収束してしまうものの、強盗団一人一人ののバリエーション作りなどは苦心振りが伺えて優等生的だ。
なんか褒めているのか貶しているのか分からないかもしれないが(笑)、結局のところコーエン兄弟の映画っていつもこういう感想になってしまう。少なくとも下手な映画を見るよりははるかによろし。