いま聴いている音楽 t.A.T.u

t.A.T.u / 200 KM/H IN THE WRONG LANE
実は割と好き(笑)。こういうウェルメイドなポップス、つまりは商品にすぎないかもしれないが、きっちりとクオリティは高い作品は嫌いではない。東京ドームでのコンサートに行かなかったこともマジで残念。
ただし、このアルバムに収められているThe Smithsの"How Soon Is Now ?"のカバーは、選曲は渋いもののやはりイマイチ。この曲はもてない男(女?)の孤独を歌っているのだが、モリッシーの憂いを帯びた歌声がどうしようもない現実に対する諦念を漂わせて凄みがあることに比べると、タトゥは若いだけあって閉塞的な現状に対する"叫び"として熱唱せずにはいられない。だが、モリッシーの歌声を知っているならば、どうしても物足りない。あの名曲のカバーとしては決定的に物足りない。

もし行きたいと思うのなら、クラブだってあるさ。
そこに行けば、君のことを本当に愛してくれる誰かに出会えるかもしれない。
そう思い、君は出かけていき、ひとりで突っ立ってみる。
そして、ひとりで立ち去り、家に帰り、涙を流し、死にたくなるんだ。
  
"いま"にそれが起こるよっていう言うけれど、
その"いま"って正確にいつのことなんだい?
分かるかい、僕はもうあまりにも長いあいだ待ち続けたんだ。
そしてもう希望の欠片すらどこかに行ってしまった…

この時期のモリッシーは若者特有の抑鬱的な感情を見事に詩的に捉えている。このような歌詞を安易に熱唱すべきではない。