幼稚園児がおかしい?

『プレジデント』2004年7月19日号を読んでたら、藤原智美が幼稚園児たちの描く絵に腕がないというレポートをしていた。そのレポートに取り上げられていたレクタス教育研究所*1の庄司昌子先生の言葉を引用する。

「つい数年前に突然、五歳や六歳にもなるのに腕のない人間を描く子が出てきました。それまでそんなことはなかったので、たいへん驚きました。でも、その異変は一過性のことではなかったのです。その後も腕を描き忘れる子が続出。今年は、足を描かない子が一人出てきたんです。このままいくと来年は、多くの子が胴体だけのお母さんや、自分を描くのではないかと恐れています」

昔に比べて手を頻繁に使わなくなったせいかと誰もが思っていたそうだが、そういうわけでもないらしい。ある子供は大好きなベイブレード*2をやっている自分を絵に描いたときに、やはり腕を描かなかったのだとか。

ではベイブレードの糸をどこにつなぐのだろうかと先生が見ていると、彼は仕方なく胴体の部分にくっつけてしまった。

この記事を読んでかなり驚いた。身体感覚がおかしくなっているのか。藤原は、人間なら人間という抽象的な概念を理解できなくなっているのではないかと推察している。

彼らの興味は顔や服に集中している。部分を即物的にとらえて絵にする。興味のない部分は意識に上らない。人間という存在が概念化されていないからである。

これが藤原の言うように端的にテレビやゲームのせいなのかどうかは分からない。だが、人間という概念を自然に理解できず、即物的なパーツの集合としか理解しえない幼児がたくさんいるというのが事実だとすれば驚きだ。あるいはラカン風に言えば、鏡像段階をうまく通過することができず、寸断された身体の状態が十分に統合されえていないということなのか。

*1:西宮市にある小学校受験用の幼児向けの塾なんだとか。

*2:要するにベーゴマ。一時、子供に大人気だったが、今でも人気あるのかどうかは知らない