柄谷行人インタビュー「資本・国家・宗教・ネーション」 『現代思想』2004年8月号

トランスクリティーク』以降の柄谷行人の思想的展開に関するインタビュー。この手のものは既に多く出ているので、特に新たな知見が得られるわけではないものの、近年の柄谷の理論も気になる人には必読ではある。だが、インタビュー形式の常として、実のところ普遍宗教において現れるユートピアの場としてのXについて納得しきれるだけの説明はなされていない。やはり流し読みではなく、『トランスクリティーク』をきっちりと読まなきゃいけないと再認識。ところで、長期波動的不況については国家はどうすることもできないという部分など、経済学的な突っ込めみどころは今回も満載なインタビューではある。実際、この手の内容については、近経学者は真面目に突っ込み、議論を活性化させていけばいいと思うのだが、どうも柄谷行人と近経学者とは全面的議論にはならない。