森博嗣『Φは壊れたね』(講談社)

上でインプット云々と偉そうなことを言ったものの、今日は久しぶりにミステリーを読んでしまった(笑)。この本は先日、綾辻行人暗黒館の殺人』(講談社)と同時に買ったのだが、とりあえずこちらから読むことに。
新本格ミステリーを読むのは久しぶりだ。綾辻行人法月綸太郎麻耶雄嵩など京大ミステリ研出身の作家たちが華々しく登場して牽引した新本格系ミステリーはかなり追いかけて読んでいたのだが、彼らが作品をあまり発表しなくなるにつれて、僕もミステリーを読まなくなってしまった。そう、今回も綾辻が12年ぶりに<館>シリーズを発表し、しかも帯に「シリーズ最大・最深・最驚の『館』、ここに落成!」などと書かれていたものだが、つい久しぶりに心が動いたのだ。
さて、綾辻はともかく、森博嗣の『Φ』だ。森も一時はかなり読んでいた。S&Mシリーズ、Vシリーズはすべて読んでいるため、読んでいないのは短編集やシリーズ外作品を除けば、四季シリーズくらいだと思う。今回は帯に「西之園萌絵、ふたたび事件に遭遇」とあったので、手にとってしまった。ミステリーにおいて、帯の惹句はかなり効果的だと思う(笑)。知らない人のために解説しておくと、西之園萌絵はS&Mシリーズの主人公だ。このシリーズはおもしろかった。特にデビュー作の『すべてがFになる』がお勧め。
しかし、この作品については、はっきり言って非常につまらない。あまり長々と書くのも徒労だが、謎に魅力はないし、謎解きのカタルシスもない。登場人物の造詣も単調だし、殺人の動機もバカげている。適当に書き流しただけの作品。ページに余白を取りすぎていることも気に入らない。特に下部の余白が大きく、上部の余白とあわせると、ページあたりざっと1/3は余白だ。しかも、S&MシリーズやVシリーズなどは上下2段組だったはずが、今回は1段組み。あっという間に読めてしまう。まぁ、この程度の内容で長々と読まされても困るのだけれど。