いま聴いている音楽 Scritti Politti

スクリッティ・ポリッティ / ソングス・トゥ・リメンバー
1982年のスクリッティ・ポリッティの1st。シニカルでありつつも、非常に軽やかなPOPS。知的な男が80年代にPOPSを作るとこうなったという感じは否めないが(笑)、聴きやすいメロディに加えられた細かな工夫は高度であり、聴いていて飽きさせない。とりわけレゲエやソウルやボサノバなど異種ジャンルとの交配ぶりのハイセンスな感触などは知的POPSの醍醐味であり、80年代に書き散らされた凡百のPOP MUSICとは確実に一線を画している。グリーン・ガートサイドの甘い歌声も曲調にマッチしている。
バンド名であるスクリッティ・ポリッティ(政治的文章)はイタリアのマルクス主義グラムシからの引用。このアルバムに収録されている「ジャック・デリダ」という曲はご存知、現代思想最後の大物哲学者の名前。こういうところはやはり若気の至り的な気恥ずかしさは否めない。