いま聴いている音楽 Giovanni Mirabassi

Giovanni Mirabassi / Avanti!
澤野工房によるジョバンニ・ミラバッシのピアノ・ソロ・アルバム。今回は革命歌、反体制歌ばかりを集めたアルバムだ。一曲目でいきなりチリの反体制歌として有名な「不屈の民」が演奏される。この曲はキラパジュンとセルヒオ・オルテガによる合作。ミラバッシの演奏はこの曲の美しいメロディを静かに際だ立たせており、聴かせる。民衆歌は複雑なメロディではないため、ピアノで弾くと安易に流れやすく退屈になりがちだが、それにも拘らずこれだけの緊張感を維持できているというのは、なかなかのものだと言えるのではないか。
ところで、この曲は現代音楽の最左翼(と、以前に誰かがどこかで書いていたのを読んで、なるほどと思った記憶がある)フレデリック・ジェフスキが36の変奏を加えた「『不屈の民』変奏曲」でも有名だ。「『不屈の民』変奏曲」は僕の知る限りジェフスキ自身による演奏、高橋悠治による演奏、マーク・アンドレ・アムランによる演奏の3つのCDが出ているが、個人的には高橋悠治の演奏で慣れ親しんだため、彼のものが一番しっくりときてしまうのだが…。
閑話休題。このミラバッシのアルバムには、他にもジョン・レノンやレオ・フェレ(!)やミラバッシ自身の曲に加え、ロシア赤軍合唱隊で有名な「哀愁のポーリュシカ・ポーレ」(僕はこの曲を聴くと、レニングラードカウボーイズを思い出す)までが収められている。