朝霧JAM 2004年10月2日〜3日

なんと言っても、今年の朝霧JAM最大のトピックはあのどしゃ降りの雨だ。簡易レインコートしか持っていなかったため、なかの服にまで雨が滲みてくるし、テントはテントで上からは雨漏りしてくるし&下からは浸水してくるしで、かなり苦しめられた。
だが、いくつかのライブにおいてはこの雨が最高の演出となっていたことも事実だ。二日目のJUDE、SOIL & "PIMP" SESSIONS、ROVOなどは雨が見事な演出をしていたと言える。
いや、先を急ぐのをやめよう。ともかくは順を追ってフェスの感想を書き記しておくことにしたい。とは言え、初日から書いていこうと記憶をまさぐってみても、飲み食いに時間を費やしすぎたことと前日ほとんど寝ていないこととが重なり、あまり記憶に残っていなかったりもする(笑)。実のところ印象に残っているのはDCPRGとFAITHLESSぐらいなのだ。
はじめて見た菊地成孔率いるDCPRGは菊地がやりたいことを好き勝手にやっている感が強いが、これが見事にハマっている。僕が最後に菊地を生で見たのはおそらくGROUND ZEROのライブの時なので、かなり以前のことになる。その後も菊地が旺盛な音楽活動(スパンクハッピー東京ザヴィヌルバッハUAのバック演奏など)を続けるかたわら、書籍の発行(『スペインの宇宙食 』『 憂鬱と官能を教えた学校』など)や、東大でのゼミ開講などを多面的な活躍をおこなっているということは知っていたのだが、何となく接点を持つ機会がなかった。しかし、久しぶりに彼が率いる演奏を聴き、これまでさしたる理由もなく離れてしまっていたことを激しく後悔した。この実験精神旺盛なミュージシャンの音楽は、変わることなく複雑さを維持した音楽でありつつも、音的快楽を全面的に繰り広げてくれており、とても感動的だ。とりあえずは、菊地成孔のCDを聴き、本を読み、またライブを見に行きたいと思う。ディテールにまつわる具体的な話はそれからにしたい。
FAITHLESSはアルバムよりもライブのほうが断然いい。最新アルバムは実のところ嫌いではなかったものの、世評の絶賛にはいまひとつピンとこなかったのだが、ライブはまったくの別物だった。テクノ色の強いアルバムとは異なり、生の演奏はかなりロック色が強く、バンド全体が強力でアグレッシブなのだ。反戦メッセージを強烈に打ち出し、熱い演奏を繰り広げる。キーボードであるシスター・ブリスの妙にメカニカルな腕の動きもgood(笑)。
MOON SHINE STAGEについて。GRANDABOBはイマイチだった。単にききやすいだけ。EYEとFrederic Gallianoを見逃したことは残念だが、DJ COJIEによるレゲエDJは悪くはないものの、まぁクラブでいいかなと(笑)。そして、Jah Shaka。これが残念ながら期待はずれ。かなり期待値は高かったのだが、全然ニュールーツっぽくはなく、単に可もなく不可もなく。そのため冒頭20分くらいで離れてしまった。聞いた話では、後半はニュールーツ系だったらしいので、その部分は聞いてみたかったと思うのだが。
二日目はなんと言ってもROVOだ。ROVOの音楽は何と例えればいいのだろうか。あえて一番近いものを言えば、やはりプログレだと思う。ミニマル・ミュージック的な音の反復を中心に曲が構成され、そこに勝井祐二のエレクトリック・バイオリンが滑走する(山本精一のギターは地味)。豪雨のなか、観客をトランス状態に巻き込む快楽的な音の放射はあまりにも甘美だ。
その他ではLOS LOBOSが期待を裏切らない出来栄え。このLOS LOBOSが切り開いたイーストLAの音楽シーンからOZOMATLIやQUETZALが出てきたのだ。ただし、彼らの音楽には雨は決して好条件だとは言えないと思う。
この日はMOON SHINE STAGEには一度も行かなかった。DJ FREDやDJ KENTAROFOUR TETを見逃したことは気がかり。