何かを見るかのように音を聴く

HAROLD BUDD with ZEITGEIST / she is a phantom
アンビエントの雄、ハロルド・バッドの94年のアルバム。この曲はツァイトガイストのために作られたものであり、バッド自身はピアノと朗読で参加。
音響をベースにした内省的な音作りはアンビエントの定石だが、ツァイトガイストのための曲ということもあって、打楽器なども多用されている。全体的な印象としては、アンビエントというよりも、映画のサントラ音楽のような感触を想像したほうが印象は近い。あるいはテオ・アンゲロプロスの音楽を担当しているエレニ・カラインドロウなどのECM音楽っぽいと言ったほうが近いかもしれない。いずれにしても、アンビエントの空間性が視覚的な印象と強く隣接するため、音像を見ているかのように聴こえてくる。