ロックオペラの怪物

Klaus Nomi / Simple Man
フーコーと並び、最も早くエイズで亡くなった大物の一人。ロックオペラの怪人クラウス・ノミを久しぶりに聴きなおす。チープでスカスカの80sポップス的サウンドに合わせてノミが巻き舌、ファルセット、ベルカントで歌い上げる。オペラ的崇高さとすれ違う、キッチュでヴァナキュラーなクィアミュージック。
ところで、ブリットポップ以降の世代にノミの音楽を聴かせたところ、彼らは非常に抵抗感を示し、聴けなかった。80s以降のテクノロジーの急激な進歩が聴覚環境に大きく影響を及ぼしているのだが、実際のところ、ノミのこの特異な音楽そのものが決して後世には引き継がれない類のものだとは思う。この不可思議な宇宙人の音楽はこのまま歴史に消えていくのだろうか。

※追記:と思っていたら、クラウス・ノミは、はてなのキーワードに登録もされているし、今でも細々と(笑)聴かれているみたいだ。