いきなりの今年のベスト候補…とまではいかない

久坂部羊『破裂』(幻冬舎
「医者は、三人殺して初めて、一人前になる」という惹句はなかなかインパクトがあって良い。内容もなかなかおもしろい。一人前の医者になる前の未熟な状態での治療のために、何人もの患者が犠牲になっているという制度的問題への告発から始まり、院内政治や医師会の影、厚生省の陰謀、ロマンス、高齢者問題、法廷劇などが絡む。
阪大医学部卒業の医師がこういうのを書くと、またしても大学病院不信になるが、まぁ仕方ないな。難を言えば、厚生省のマキャベリがその割りに馬鹿っぽく見えるところか。