NHKの内部告発について2

 実のところ、上記の問題は多くの人には関心がないように思える。多くの人が興味があるのは結局のところ「思想談義」だ。だが、その場合でも議論の整理は必要だと思う。上記の政治的圧力問題以外に議論を拡張する場合には、「今回の題材がそもそもNHKに相応しいか」と「題材の取り上げ方がNHKとして適切だったか」という問題を区別しないと話が混乱する。後者はさらに「改変前の取り上げ方が適切だったか」と「改変後の取り上げ方が適切だったか」に区別される。
 僕自身はこの番組を見ていないので詳しく意見を言うことはできないのだが、題材としては別に取り上げてもいいのではないかと思う。肯定的に取り上げるか否定的に取り上げるかの問題は置いておくとしても、ニュースバリューとしては放送するに値するだけのものだったと思う。実際、他国のメディアなら迷わずに取り上げるのではないか? ならば、報道するだけの価値はあるのだ。と言うか、報道の題材については、「何を報道すべきか?」の議論ではなく、プライバシー問題などのように「何が報道されるべきではないのか?」の議論をしないと哲学論議になって現実的ではないのではないか。どこかのサイトで「出演者が極左だ」などとの意見も目にしたが、例えば極左が犯罪を犯したら当然のように報道されるのだから、出演者が極左であることは報道をやめるべき理由にはならない(ちなみにこの手の感情的な言葉は始末に負えない。「極左」と言えば暴力組織という風に僕には思えるが、その意味では出演者はまったく極左ではない。「人権派」と言うならまだ分かる。言葉の定義を明確化して使うことは重要だ)。
 最後に取り上げ方については、論じる人の思想的な立場が入り込む領域であり、実のところ混乱するのはここだ。「改変前の取り上げ方」は証言からしか分からないので、とりあえずは実際に放送された「改変後の取り上げ方」についての議論が中心になるだろうが、これについては見ていないので何とも言えない。だが、実際に報道されたものが不適切だったという理由で、取材先からNHKが訴えられているのはご承知のとおり。方や、中川・安倍両氏も発言を聞く限り気に入らなかったようだ(彼らの場合、実際は題材批判が多いのだが)。NHKって…