Beastie Boys @愛知県体育館 2005/01/15

 19時頃に会場の電源が落ちる。ステージ上のスクリーンは真っ白に光輝き、ホワイトアウト状態。一体、何が起こるのだろうか? 期待が高まりつつ見守っていると、スクリーン上にどこかの一室らしき光景が映し出される。しかも見慣れない不思議な光景だ。人間が床の上に横になっているようなのだが、真っ白なシーツを頭までかぶせられているため、実態は分からない。数人がその周りを取り囲んでいる。すると、「ホッホッホッ」と言う笑い声とともにせむし男(?)が現れ、こもった声で何かをしゃべりながら横になった人の胸の上に何かを振り下ろす。すると、横になっていた人がむくっと体を起こし、シーツがめくれあがる。
 現れたのは、レコードを胸に抱えた我らがミックス・マスター・マイク! 彼は立ち上がると、そのまま何もなかったかのように歩き始める。扉を開け、廊下を歩き、とこのあたりまで来ると、これが今この体育館のなかで行われていることだと僕らにも分かってくる。会場はもちろん大歓声。そして、ステージ後方の中央高段に設置されたDJブースに、ただいま復活を遂げたばかりのミックス・マスター・マイクが姿を現すのだ。
 ひときわ高まる大歓声。いつものごとく驚異的なDJテクニックが披露しまくられる。しばらくのあいだ馬鹿テクDJを堪能し、会場を盛り上げまくった末に、ついに上下灰色のトレーニングスーツ姿のビースティ・ボーイズの3人が飛び出してくる。
 ここまでのオープニング部分のエンターテイメントぶりから分かるように、本当に楽しいライブだった。ビースティーズのライブは常に楽しいのだが、今回も例外ではない。合間合間にちょっと間が抜けたお馬鹿な爆笑映像(マジで爆笑モノ)や、当日の開場を待っているファンへのインタビュー映像が流れたり、途中で3人が引っ込んだかと思えば、メンバーを2人加えたラウンジ系バンドとして登場したり(そう、今回はバンドセットも多いのだ)、「チケットをファミリーマートで買ったかローソンで買ったか、どちらが好きか」などの会場とのお馬鹿なやり取りなど、まったく飽きさせることがない。
 全体の構成は、前半がいつものHipHopスタイル、中盤がインストを中心としたラウンジ系バンド(衣装も全員タキシード)、後半がまたHipHopスタイルに戻り、アンコールでまたバンドスタイル。
 強力ないつものHipHopスタイルに続いて登場したラウンジバンドも笑った。田舎のお祭りの素人バンド用舞台みたいな舞台(上にたくさんのランプがついており、妙に間が抜けている)の上に載ったまま、全員タキシード姿で演奏しながら登場するのだ。3人以外では、キーボードは後から気づいたのだが、彼こそマニー・マーク(初めて見た。ところで、もう一人のパーカッションは誰だ?)。そして、マニー・マークがまた変なのだ。妙なノリの悪さで、無表情なまま何度も飛び上がってキーボードを叩くのだが、飛び上がるタイミングの間の悪さと言い、その姿のかっこ悪さと言い、絶妙にビースティーズ好みなのだ(笑)。ビースティーズにはマニー・マークとの共作したアルバムがあったはずだが、残念ながら聴いたことがない。このバンドの演奏そのものは、特にビースティーズのメンバーの素人くささが最高で、本当に田舎の場末のパブにでもいそうな感じと言えば言いすぎだろうか(笑)。
 このバンドはアンコールでも登場するのだが、そして最後の曲サボタージュも恐ろしいことに、このバンドで演奏した。まぁ、正直言って前回のダイヤモンドホールでの公演ほどではなかったものの(前回公演については、2005年1月11日の日記を参照)、これはこれである意味おもしろかった。「うぉ〜」の叫び声の部分も、演奏に気が取られているようで十分な集中はなかったと思う。だが、かなり荒い演奏でのこの曲も悪くはない。
 あんまり個々の曲について触れていないが、書きつかれたので、そろそろ終わりに。まぁ個々の曲がすばらしいことはいつもの通り。また日を改めて、少しずつ書いていこうと思う。最後に周辺情報を。会場は広すぎで、ガラガラ。アリーナは前の半分のみ。スタンドも両側面には人をいれず、後部のみ、しかも空席が目立つ。やはり愛知県体育館は広すぎ。これなら再度ダイヤモンドホールで良かったのだが、まぁダイヤモンドホールでやる場合は、あのバンドの登場のやり方はできないかも。