ごくせん

 家にずっといて、しかも本を読む気になれなかったので、久しぶりにぼうっとテレビを見てしまった。どうやらやくざ一家の跡取りである仲間由紀恵が自分の出自を隠して高校の先生をしているというドラマ。担当学級もいわゆる不良クラスといういかにもな設定。やっぱりこの手の学園モノって難しいな。いわゆる熱血モノなのだが、熱血されてもねぇ。
 数年前に野島伸司脚本の『リップスティック』というドラマがあった。広末涼子三上博史が主人公であり、少年鑑別所を舞台に繰り広げられる教官と少女とのラブストーリーだ。少年鑑別所が舞台であるということから、必然的に物語は狭い部屋のなかでの会話を中心に繰り広げられることになる。淡々とした会話が繰り広げられていくなかで、少しずつ少女が心を開いてくるという精神分析にも似たプロセスは、熱血モノが不可能な現代においてどのような学園ドラマがありえるのかについての、ひとつの回答だと思うことができるものでは少なくともあった。もちろん必ずしも成功していたとは言わないけれど。
 だが、『ごくせん』を見ていると、結局のところテレビドラマのほとんどは物語的な野心も持たず、ありふれた学園モノを反復し続けているのだなぁとインフルエンザが悪化した。