山田真哉 / 女子大生会計士の事件簿DX.1、DX.2

 昨日エントリーした『さおだけ屋』と同じ著者による小説。あっという間に2冊読めてしまうぐらいに内容は軽い。
 著者自身DX.1のあとがきで文芸書ではなくビジネス書だと述べているが、ビジネス書にしてはあまりに断片的な会計詐欺のトピックの伝達にしかなっていないし、小説としては、率直に言ってかなりつらい。描写がなく、会話と語りだけで構築されているため、何もおもしろくない…。
 ところで、DX.1の「監査ファイル3<桜の頃、サクラ工場、さくら吹雪>事件」には、商品(冷凍食品)についている<桜の木>シールを1000枚集めて送ったら10万円キャッシュバックという企画が出てくる。
 この本のおまけコーナー「監査ファイルEX.女子大生会計士の事件後」におけるこの事件への言及を読んでいると、「シール1枚分の価値は10万円÷1000枚だから1枚=100円じゃないですか。仮に冷凍食品の単価が500円とすると、2割をキャッシュバックしないといけないんですよ。原価はもっと低いでしょうから、もともと赤字になる企画だったんじゃないでしょうか」と書かれてあった。
 とすると、これはそもそも景品表示法(景表法)に引っかかっているのではないか。この企画は全員にプレゼントをするので「ベタ付けプレミアム」というSP手法に当たるのだが、その場合、取引価額の10%までのものしか提供できないはずだ。要するに、誰にでもプレゼントする場合には購入金額の10%以下のものしかあげられないということ。とするならば、これは「もともと赤字になる企画」以前に、もともとやってはいけない企画なのだ。