サンボマスターはエンケンになれるか?

 先ほど目を覚ましてTVをつけ何気なくザッピングしていたら、MTVだろうか、ライブをおこなうサンボマスターの姿が現れた。それを見ていて、一昨日だったかの深夜、NHKの『トップランナー』の再放送(?)でサンボマスターが出ていたのを思い出した。
 彼らは愚直なまでにロックを信じている。ロックとは生命の放射だなどという意味のことを何度も繰り返していた。その時に放映されたのが始めて聴いた彼らの演奏だったのだが、かなり熱い音を出している。とにかく楽器をガンガンかきならす。歌は熱い絶叫(ただし、歌詞は良いお兄さん系)。しかも、早口で朗読していくようなボーカルは即興で歌詞のアレンジをしていき、先ほどのMTV(?)でも、「今日、渋谷で奇跡的に歌声が生まれました」と叫んでいた。
 それを聴いていて思い出したのがエンケンだ。そう、思いっきり楽器をかき鳴らす演奏スタイルといい、血管がブチ切れそうな熱いボーカルといい、まさにエンケンスタイルだ。ただし、サンボマスターにはエンケンに宿る狂気がまったくない。楽器をかきならし、絶叫するだけでは狂気は宿らない。
 サンボマスターの音楽は人の良いあんちゃんたちの音楽だ。その演奏を生で体験すると、観客は熱くヒートするだろう。そして、非常に爽やかな気分で会場を後にするだろう。だが、、、熱意と誠意だけではいまひとつ物足りないことは確かなのだ。
 さて、サンボマスターエンケンになれるだろうか? もちろんエンケンになる必要などないと言えばそれまでだ。だが、サンボマスターに足りないもの、サンボマスターの今後に必要なもののヒントがエンケンの音楽には確かに存在していると思う。もちろんあれだけ熱くなれるというだけでもある種の才能だ。だけど、その先にいけなければ単調なだけの音楽として消費されて終りとなるだろう。
 彼らは今年のフジロックに出演する。時間が合えば、実際に見てみようと思う。これ以上の感想はその後に。