佐藤優・福田和也 / 瀬戸際の日本外交 (月刊『現代』2005年6月号収録)

 2005年5月5日のエントリで取り上げた佐藤優の対談。やはり彼の分析は抜群に面白い。中国の情勢分析、対中外交のあり方、潰された外務省国際情報部の必要性、あるべき外務官僚の姿、外務省動向の読み方(外務省が国内向けのポーズとして強行発言をしているかのような振る舞いをし始めているときがいかに危ないか)など、短い対談ながらも読みどころ満載だ。しかも、こうした佐藤の発言は基本的にすべて外交官たちに向けた言葉になっているのだ。
 ひとつだけ具体例を。派閥ごとに異なる永田町の言語体系を理解していない外務官僚が増え、政治家に届く言葉が使えなくなっているという指摘における事例だが、野中広務自民党総裁選に「200%出ない」と言っているのに鈴木宗男は一生懸命、野中の選挙活動をしていたらしい。なぜか。200%というのは普通の百分率ではない。本当に「絶対にない」ときは、「0だ」と言うんだとか。なんじゃそりゃ。こんな永田町の言語体系を理解しないといけない霞ヶ関はたいへんだ…。国民もたいへんだが。