ドン・ウィンズロウ / ウォータースライドをのぼれ

 ウィンズロウのストリート・キッズ・シリーズの4作目。アメリカでは既に次作も発売されているとのことだが、それは後日談的な話らしいので、この本が事実上の最終作と言っていいかもしれない。だが、残念ながらあまりおもしろくない。これまでの作品と趣が異なり、コミック・ノヴェル的なテイストになっているのだが、たいして笑えない。
 このシリーズのおもしろさは、結局のところストリート・チルドレンだった主人公ニール・ケアリーが自らの生を模索していくプロセスと事件を調査・解決していくプロセスとがリンクしていたところにあるので、彼が幸せになったとたんに急激に失速してしまったのは仕方がないことなのかもしれない。第1作『ストリート・キッズ』の邦訳が出たのは既に12年ほど前のことだ。