朝霧JAM

 昨年とは大違いの快晴の二日間。最高でした。
 初日の発見はA Hundred Birdsだろうか。ただし、非常に眠かったのだ。仕事に忙殺された1週間であったうえ、2時間半の睡眠で運転5時間だとさすがに疲れる。なので、いまひとつ印象に残っていない。要するに本当は発見できてすらいない(笑)。
 その後のRYUKYUDISKOのアゲまくりDJで元気になったものの、後ろ髪を引かれる思いでFlogging Mollyへ。これは“いかにも”なアイリッシュ・パンク。彼らの演奏が今回の朝霧JAM最高の盛り上がりだったのではないか。
 その後、REI HARAKAMI(独特の音色の空間的な広がりが特徴的だ)を少し、RUSSEL HASWELL(なんか凡庸なメロディをブツ切れで繋いでいるような感じ)を少し。THE STRING CHEESE INCIDENTは完全に力尽きていたので、テント前で椅子に座りながらのダメ観客。
 
 二日目は活力が復活。力強い恒例の陣馬の滝太鼓(地元の演奏)に続くSANDIIは、いかにも細野晴臣あたりが好きそうな、スピリチュアルなハワイアン。僕も好きなタイプの音楽だ。
 次のELECTRELANEは初めて聴いたのだが、なかなかよい。STEREOLOVEのような、ちょっとキッチュな雰囲気の漂うテクノポップ
 続いて、ARRICAN HEAD CHARGE。曲は今年発売された『イン・チャージ:ライブ・イン・ジャパン』とかなりかぶっているのだが、やはり非常にカッコいい。大好きな「ウィッキド・キングダム」の不穏なリディム。何度も何度も絶叫される"Yaaaaaaaaaahhhhhhh-Maaaaaaaaan!"。
 KOSMIC RENEAISSANCEはフリージャズに電子音楽が加わったような感じ。悪くない。
 そして、我らがTHE DISCIPLES。"Prowling Lion"で始まる彼らのダブは明らかに異彩を放っていた。実際のところ、最近のテクノと比べると、メロディやリディムは単純だし、DJテクニックなどにも際立ったところはないかもしれない。だが、異国風の廃墟感が漂う彼らの壊れかけたダブサウンドは強力であり、場の空気の質量を押し上げる。
 AIMEE MANN。クールビューティー系。本人のモデルのようなスレンダー美人ぶりに驚いた。彼女の淡々とした歌声もまた徹底的にクールであり、シンプルなバンドサウンドとともに、端整な音楽を、ただそれだけを淡々と紡ぎあげていく。曲は最新作の『フォーゴトン・アーム』からのものが中心。このアルバムはアメリカの田舎町で男と女が出会い、別れ、再開するまでを描くコンセプトアルバムなのだが、ライヴでもAIMEEが物語を解説しながら曲が演奏されていき、そのあいだに過去のアルバムの曲も挿入されるという構成になっている。実のところ、彼女のライヴは今回の朝霧JAM屈指の完成度だ。
 最後がROB SMITH。レゲエを核とした高速ドラムンベース。踊りまくって疲れた。MASSIVE ATTACKといい、PORTISHEADといい、TRICKYといい、レゲエやヒップホップとテクノが融合するイギリスのブリストルという不思議な港町に思いを馳せる。