谷村智康 / CM化するニッポン

 タイトルを見ると社会学系の本と間違えるかもしれないが、基本的にはテレビを中心とするマスメディアのCMテクニックの解説。あっという間に読めはするのだが、これは意外に重要な本だ。メディア・リテラシーがたった2時間で飛躍的に高まる。
 この本で主に解説されているのは、消費者に分からないように展開される、いわゆる「見えない広告」のテクニックだ。本書を読めば、「テレビで話題になっている」という事実が如何に空疎なものなのかが一目瞭然。要するに、「テレビで話題になっていること」のほとんどは、企業からお金を取って、そうと気づかれないように展開してている広告なのだ。そう、僕らのまわりは広告だらけ。マスメディアはいかにして「広告だと分からないような広告」を作るかに腐心し、その技術はどんどん洗練されていく。
 だからこそ、僕らはメディアリテラシーを高めなければいけない。あとがきに書かれているように、本書の内容を知るだけでもマスコミとの接し方は変わってくるだろう。著者ほどに楽観視はできないにしても、マスコミを見る目は確実に変わるだろう。

CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか

CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか