ワレリー・ゲルギエフ指揮マリンスキー歌劇場管弦楽団 @ 豊田市コンサートホール 2006/01/28/Sat.

 今年最初の公演はゲルギエフ。東京でやっていた『ニーベルングの指輪』も聴きたかったが、年初から飛ばすのもナンなので近場にしておく。
 しかし、ゲルギエフは元気だ。生命力溢れる彼独特の演奏は聴き応え十分。
 ムソルグスキーの「モスクワ河の夜明け」は非常に美しい曲だが、今回の演奏でもとりわけクラリネット・ソロの美しさはため息が出るほどだ。クラリネットの艶めかしい生命力。モーツァルトの「戴冠式」は典雅さを求めるなら他にもやりようはあるかもしれないが、こちらも十分に楽しめる。
 だが、最も素晴らしかったのはやはりショスタコーヴィチの5番。通称「革命」。ショスタコーヴィチのなかでも最もドラマチックなこの曲を僕は大好きなのだが、ゲルギエフの演奏は、冒頭からいきなりの、あの悲劇的な盛り上げのところから、ぐいぐいと意識を音の世界へと引きずり込んでいく。緊張感溢れる管弦楽の音色が印象的。ロシアの20世紀に思いを馳せる。
 
ムソルグスキー 歌劇《ホヴァンシチナ》前奏曲(モスクワ河の夜明け)
モーツァルト ピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K.537「戴冠式
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調 Op.47