内田和成 / 仮説思考
BCG本のひとつ。分かりやすく非常に有益な本。一時のロジカルシンキングやクリティカルシンキングのブームが過ぎ、最近は構想力とか仮説だとかを目にする機会が多い。確かにこれも一過性のブームだろうとは思う。だが、ロジカルシンキングにしろ、仮説力にしろ、どちらも身につけておくべきものであるには違いない。
そもそも仮説力とは言っても、思いついた見解に次々と飛びついていくだけでは意味がない。それを批判するためにこそ、MECEに代表されるロジカルシンキングが注目されてきたはずだ。要するに、ロジカルシンキングができることを前提にしたうえで、それをさらに格段に効率UPさせるために仮説構築力が必要になってくるという順番は間違えるべきではない。
なので、本書を読む前に何らかのロジカルシンキング本を読んで身につけておくことをお奨めする。そして、ロジカルシンキング本なんてどれかを一つ読んでおけばよいのと同じように、仮説力についてはとりあえず本書を読んでおけば良いと思う。ただし、あくまで重要なのはビジネスの現場で地道に考えることであり、こうしたビジネス本を読んだからと言って、夢のような効果を期待するならば間違っている。
本書で述べられているのは要するに、情報が少ない初期段階で、課題やその解決方法を仮説として先に考えておき、後からそれを証明するというやり方で仕事を進める方がはるかに効率的だということ。本書には仮説の立て方や検証のやり方だけでなく、仮説構築力を高める訓練方法に至るまで、事例を交えながらコンパクトにまとめられている。繰り返しになるが、これは特定の人だけが使うべき特殊な技術などではなく、誰もが身につけておくべきものだ。
ノーベル賞を受賞したある科学者(ランドシュタイナーという人)がいつも実験をする前に論文を書いていたというちょっとした逸話が印象に残る。
- 作者: 内田和成
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2006/03/31
- メディア: 単行本
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