最近のロックの新譜について

 先日触れたレッド・ホット・チリ・ペッパーズに続き、パール・ジャムプライマル・スクリームの新作がなんとも素晴らしい。今年はロックの当たり年だ。
 パール・ジャムの新作は、正義を希求し現実を告発する本格派アメリカン・ロックの剛速球ど真ん中だ。ロック好きなら確実にこの音にハマるだろう。力強い彼らの音楽こそは現代のアンセムにほかならない。
 プライマル・スクリームの新作は、まずは抵抗せよと鼓舞するパンキッシュな英国流不良ロックの、クセの強い悪球だ。一筋縄ではいかない。大人の道徳で判断する前に、もう一度耳を澄ましてみよう。なによりも抵抗の原初的な叫び(プライマル・スクリーム!)こそがロックの核心にあることを思い知るだろう。
 レッチリの新作は、ワールドワイドな広がりを有する猥雑なミクスチャー・ロックの魔球だ。世界はこうなのだと、理不尽な現実をそのまま肯定してやまない。レッチリの音は一聴しただけではシンプルな音楽に聴こえるかもしれないが、一つの曲に統合される一歩手前で、個々の楽器や声が独自の存在を主張し、蠢いている。そして、混乱した現実のなかにこそ未来があるのだ。

パール・ジャム

パール・ジャム