自販機の販促

 自販機マーケティングと言えばどうしても設置場所の問題に目が行きがちだが、自販機POPも馬鹿にできないポテンシャルを有している。例えば、自販機で同じお茶が3〜4本並んでいるうちの1本だけ、ガラス上に「お勧め」とでも書いて目立たせておけば、まず確実にそのお茶から完売していく。ここからいくつかの応用が考えられるはずだ。
 

有償と無償の見極め

 得意先からの依頼に対し、どこまで無償で対応しどこから有償で対応するのかに関する判断は、もっともっと慎重になってよい。それほど重要なテーマだと認識すべきだ。つまり、何でも無償で受けてしまうことは単に馬鹿だが、すぐに「それをするには費用がかかる」という返事をしてしまうことにも問題がある。要するに目指すべきことは、馬鹿げた依頼に対しても別途コスト吸収が可能なときには無償での対応を検討すべきであり、その先に自社と得意先の双方の成功を実現していくことだ。
 

叙情性の向こう側にある音

 
 ●ブラッド・メルドー / ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ Vol.3
 
 率直に言って、一聴してあまりにも叙情的でびびった(笑)。叙情的にすぎる音楽は個人的にあまり好みではないこともあるが、単なるBGMとなってしまう弱さを持っているアルバムでもあるのではないか。
 ただし、耳を澄まして聴いていると、単に叙情的という言葉ではすまない張り詰めた音が走り抜ける瞬間がある。例えば、2曲目のメルドー作「報われぬ思い」。もともと「報われない思い」という不安定さを抱え込んだ感情を表象するかのように揺れを含んだ曲ではあるのだが、そうでありながらもとても美しすぎる点が欠点だと言えるかもしれない。だが、その曲をメルドー・トリオが演奏するなかで、後半に行くにつれて「単なる感情の揺れ」の表象に留まらない音の緊張感が満ち溢れてくる。
 ちなみに、「報われぬ思い」「魅惑されて」「途方にくれて」「憧れ」など、このアルバムに収録されているメルドー作曲の6曲のうちの4曲に、「自分の外にある何ものかに向かう感情」がタイトルとしてつけられていることも象徴的だ*1。一見、単にロマンティックな感情であるようにも思えるが、どれも自分の外部の何ものかに翻弄されるという不安定さを有しているという点で共通しており、メルドーの曲の要点もそちらに向かっているように聴こえる。
 ところで、メルドーはレディオヘッドの曲を取り上げることでも知られている。このアルバムにはレディオヘッドの3rdアルバム『OKコンピューター』から「イグジット・ミュージック」が採られている。しかし、これはあまりに原曲に近い分だけ普通な演奏になりすぎていて買えない。ロマンティックにすぎる。確かに原曲自体、個人的にどうかと思う部分もあって好きだと言いづらい。だが、それでも原曲では、静かに演奏される美しいメロディのうえに、世の中全体に対する呪詛に満ちたトム・ヨークのつぶやき(We hope that you choke, that you choke, we hope that you choke, that you choke, we hope that you choke...)が乗っかるという不均衡によって、つい涙を誘われてしまうものになっている。
 レディオヘッドについては、例えば2004年4月20日の日記を参照。
 http://d.hatena.ne.jp/chem-duck/20040420#p2

ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ Vol.3

ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ Vol.3

 

*1:メルドー作曲の残りの2曲は「ソング・ソング」「回復期患者」