高杉良『小説 ザ・外資』(講談社文庫)ほか

最近、経済小説をまとめて読んでみた。まとめて書こうかと思っていたものの面倒になってきた(笑)。で、簡単に。
読む前から分かっていたことではあるのだが、経済小説は経済を描いた小説ではない。そもそも経済を小説で描くことは不可能なのではないか。経済小説とは正確には経済人小説だ。しかもかなり通俗的に人物を描いてしまう傾向にあり、その平板な人物理解に辟易する。高杉良のこの小説も、幸田真音の『凛冽の宙』(小学館文庫)、『日本国債』(講談社文庫)も、江上剛『非情銀行』(新潮文庫)も、黒木亮『トップ・レフト』(祥伝社文庫)も、福田和也による批判に付け加えることはない*1。また、これも福田和也が言っているとおりだが、これらのなかでは『トップ・レフト』がもっともおもしろい。

*1:『晴れ時々戦争 いつも読書とシネマ』(新潮社)を参照