いま聴いている音楽 こだま和文

こだま和文 / Pistol Opera Soundtrack
リトテンの土生 剛も参加しているサントラ。鈴木清順が2001年に撮った映画もおもしろいが、このサントラも見事。こだま和文のライブが見たい!
このアルバムの5曲目の「殺しのブルース」には映画内とは違って歌が入っていない。ただし、この歌はもともとの清順の『殺しの烙印』(1967年)の主題歌であるのだが、『ピストルオペラ』内での歌は『殺しの烙印』とは歌詞が違っていた。もちろん、昔の『殺しの烙印』版の具流八郎による歌詞の方が圧倒的にかっこいいのだ。その歌詞が歌手でもなんでもない大和屋竺の下手くそな歌によって見事な存在感を獲得していた。このオリジナルの歌は『スクリーミング ア ゴーゴー』という企画アルバムで聴くことができる。ちなみに『殺しの烙印』版の「殺しのブルース」の歌詞は次の通り。

男前の殺し屋は香水の匂いがした
まがったネクタイを気にして死んだ
寝ぼけ顔の殺し屋は寒そうに震えてた
あつい鉛を抱いて死んだ

非常に短い歌。
馬鹿げた歌詞ではあるが、馬鹿げているがゆえに下手な歌声に乗ると妙にリアルなのだ。歌を聴いて馬鹿な歌詞に噴出してしまった次の瞬間にわが身のことを考えてしまう。自分はどんなことを考えながら死ぬのだろか。どんな風に死ぬのだろか。そう、結局のところ馬鹿げた死に方をするに決まっているのだ。どうしようもなく憂鬱な気分になることができる名曲。生きることも死ぬことも嫌になる…。
こだまとは何の関係もない文章になってしまった。いつものことだけれど。