ウィリアム・シェイクスピア『ヴェニスの商人』(白水社)

本当に久しぶりに再読。しかし、やっぱり現代人の目からはどいつもこいつも野蛮人に見えるなぁ。ヒロイン(?)のポーシャなんて、裏で陰口ばかりたたいている嫌な女だ。
もともとこの作品は喜劇として作られたものだが、18世紀に獰猛なる悪役としてのシャイロックが演じられ、人気を博したらしい。19世紀以降は、シャイロックを悲劇の人として演出する舞台が主流になったそうだが、20世紀になると喜劇としてのバランスが重視されるようになり、現在に至っているらしい。ご苦労なことだ。
個々の人物の誰に焦点を当てるのかは、僕はあまり興味がないかも知れない。だが、この割り切れなさは何なのだろうか。