八木美知依 / ゆらる

 アヴァンギャルド箏奏者、八木美知依の2001年のアルバム。彼女のライブは何度か見たことがあるのだが、箏の音は聴いていて非常に楽しい。ギターと比べても弦の数が非常に多いために多彩な音が鳴ると同時に、生で聴くと明らかだが予想以上に音も大きい。さらに流れるような早弾きにも向いている。また、弦楽器として世界各地の伝統的な音楽とも相性が良い。箏自体がかなりのポテンシャルを持った楽器なのだ。
 このアルバムの多彩な曲を聴けば、箏の魅力は最大限に伝わってくる。八木はもともと初ソロ作品をジョン・ゾーンのプロデュースで発売したこともあり、古典と現代の両方を自在に行き来するが、このアルバムではミャンマールーマニア、インドなどの伝統曲をモチーフにした曲を多く取り上げており、全体的に箏の音の美しさが際立ったアルバムになっている。時々、思い出しては聞きたくなるアルバム。
 

ゆらる

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