柄谷行人 / 革命と反復 序説 (『クォータリーat 0号』太田出版)

 柄谷行人による『トランスクリティーク』以降の新展開を告げる連載とのことだが、まだ連載第一回とのこともあり、とりあえず様子見というところ。とりあえず次号も引き続き読む。
 柄谷行人は80年代後半に60年周期の歴史の反復を考えていた。その内容をざっくり言えば、90年代が30年代の反復になるだろうということ、要するに帝国主義の時代が到来するということ(政治的経済的なブロック化)だが、これはもちろん「単なる予言」ではなく資本主義の周期性の問題(コンドラチェフの波と言われる景気循環)だ。
 連載第一回を読む限りでは、柄谷はこの連載で自身のこの説を廃棄し、その倍の120年周期での反復の構造を提示しようとしている。そして、「フランス革命以来の革命運動の反復の軌跡を構造的に示すとともに、それらの不毛な反復の外に革命運動可能性を見出したいと考えている」。
 僕らが自覚なしに同じことを繰り返しているのだとするならば、その外にでるべきかどうかはともかく、やはりその外に出たいと思う。現在が1880年代の帝国主義の時代の反復であるならば、なおさらそうだ。
 
太田出版
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