ジェームス・W・ヤング / アイデアのつくり方
「アイデアの作り方」に関する古典。数十分で読める。当たり前の内容にも思えるが、確かに一読の価値はある。ヤングが言っていることはこの上なくシンプルだ。まずは、アイデアの原理は2つ。
・アイデアとは「既存の要素の新しい組み合わせ」である。
・「既存の要素の新しい組み合わせを作る才能は、事物の関連性を見つけ出す才能への依存が大きい」。
次に、これらのアイデアの原理を踏まえるならば、アイデアを出す方法論として次の5つの段階すべてが必要となる。
・資料収集
・資料の咀嚼 (資料を読み込み、あれこれいじってみる)
・一回、忘れる (考えることは無意識に任せて、他のことをする)
・アイデア出現 (それは突然、訪れる)
・アイデアの吟味 (現実に仕えるように、アイデアを鍛える)
本書で述べているのはこれだけ。だが、基本的にこの流れは普遍的な公式だと言ってよいと思う。
もちろん細かな疑問がないわけではない。3段階目と4段階目を分ける必要があるのか(4段階目はアイデアが現れるだけであり、人力で何もしようがないので、分ける意味がないのではないか)、そもそも3段階目を無意識に任せると割り切って本当にいいのか(「2段階目で徹底的に考え、どうしても出てこなければ、一回忘れてみる」、あるいは「徹底的に考えていたつもりが、いつの間にか別のことに気を取られ、その際に突然アイデアが思いつく」というようなことならば、非常によく分かる。何でもかんでも一回忘れてみるという方法化は、本当に正しいのか?)、忘れたままアイデアが現れなかったらどうするのか(仕事上では納期がある。なので、結局はがんばって考えるしかないのではないか?)など。
だが、アイデアの原理に基づき、アイデアの作り方を一般的な方法論として纏め上げたという意味で、やはり依然として一読の価値のある古典だと言える。
特に重要なのは、「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」であるという定義だ。このことを忘れるべきではない。解説で竹内均が書いているように、大陸移動説を唱えたウェゲナーや生物進化論を唱えたダーウィンたちが挙げている証拠は、どれも以前から発見されていたことばかりであった。ただし、ウェゲナーやダーウィン以前には誰もそれらをつなげて見せなかったのだ。
- 作者: ジェームス W.ヤング,竹内均,今井茂雄
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 1988/04/08
- メディア: 単行本
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