よしながふみ/ 大奥 第一巻
よしながふみがなんと大奥に挑戦。しかも謎の奇病のために男子の数が激減した架空の江戸時代が舞台。貴重な男性を大切にし、家をついで働くのは女性のほう。そのため、将軍は女性。そして、大奥にいるのは美男ばかり三千人という驚くべき設定だ。よしなが流SF版大奥。
本作はかなりの問題作だ。初めはよしながふみのことなので、大奥内でのホモセクシュアルな関係がクローズアップされているかと思っていたのだが、話はそのようには進まない。徳川吉宗(もちろん女性)が八代目将軍になることで、彼女は大奥に大鉈が振るっていくのだが、物語は制度への疑問へと進んでいく。なぜこの国には女性と男性の数が不均衡なのか、そして、表向きの文書だけを見ればこの国にいるのが男性ばかりに見えるのはなぜか(女性が家業を継ぐときには男名を名乗るのだ)…。第一巻の最後は、吉宗が、大奥を作った春日局が女性だった、そして三代目将軍家光は男性だったという「衝撃の真実」を知るところで終わっている。
萩尾望都の『マージナル』のような傑作SFになるのではないことを期待したい。
- 作者: よしながふみ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2005/09/29
- メディア: コミック
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